今の時代に合ったプラットフォームで連携を動かしたい
外部連携の壁がリニューアルの出発点に
-- 京都きもの市場様の事業についてお聞かせください。ECサイトは事業の中でどのような位置づけなのでしょうか。
斉藤様:京都きもの市場には店舗・展示会・ECの3チャネルがあります。その中でECサイトは二つの役割を担っています。一つはオンラインでの売上確保。もう一つは、対面販売では届きにくい層のお客様に「京都きもの市場」を知っていただくための認知拡大です。ECを入口に展示会や店舗へ来店いただくケースも多く、対面チャネルを補完する重要な接点です。
-- ECシステム刷新を決断した背景を教えてください。
斉藤様:以前利用していた「EC-CUBE」はバージョンが古く、当時では当たり前の外部連携機能が使えない状況でした。たとえばSNSフィード連携など、施策実行のたびにフルスクラッチ開発が必要となり、工数・コストが常にボトルネックでした。「データを渡せない」「外部とつながらない」ことが大きな課題となり、新しい施策を検討しても「現行の環境では難しい」と判断せざるを得ない場面が多かったのです。
さらに、スマホアプリ時代の名残で、PCサイトとスマホ専用のSPA(Single Page Application)サイトを別々に管理している状態が続いており、トップページを2つ同時に更新するなど二重更新の負荷も大きな課題でした。これらを根本的に解消したいという思いが刷新の出発点です。
-- システム刷新は大京システム開発が担当されました。技術面では、当時どのような点に改善の余地があると感じていらっしゃいましたか。
栗谷様:京都きもの市場様とは、2019年に販売管理システムの構築をご支援して以来のお付き合いです。その後ECリニューアルのご相談をいただきました。技術面で最も大きな課題だと感じていたのは、販売管理システムとECシステムが完全に分断していた点です。本来は一元管理されるべき商品データが別々の環境に存在していました。そこで、「販売管理データベースをそのままECの共通DBとして使う」ことでリアルタイムに連携できる構成が必須だと考えました。
本部 システム戦略部 斉藤 一真 様
決め手は柔軟性。既存決済を変えずに構築できたことが大きかったです
将来の拡張性を見据えた選択
-- 新システムとしてHeartCoreを選択した経緯を教えてください
斉藤様:実は、大京システム開発さんのほかにも複数の開発会社にお声がけしました。EC-CUBEの最新バージョンへのアップグレード、Shopifyの活用、Salesforceでの全体最適化など、さまざまな提案をいただきましたが、最終的にHeartCoreを選んだ一番の理由は柔軟性です。将来新しい施策を行う際、システムが制約にならないことを重視しました。
特に大きかったのは、既存の決済代行サービスをそのまま使えることです。他の候補システムでは当社が契約していた決済代行会社に対応しておらず、乗り換えると手数料率にも影響が出る問題がありました。HeartCoreであればカートシステムを柔軟に構築でき、既存の決済代行をそのまま生かすことができました。
Extension機能でシームレスに連携する構成にしました
販売管理とECを同一データベースで統合 するメリット
-- 導入決定後の進め方を教えてください。
栗谷様:最も重視したのはデザインです。社長肝入りのデザインがあり、それを忠実に再現する必要がありました。HeartCoreはサイトデザインを柔軟に構築できますので、テンプレートとして組み込み、そこへEC機能を実装する方針で進めました。
技術面では、販売管理システムのデータベースをそのままECでも利用し、HeartCoreのExtension機能でリアルタイムに連携する構成を採用しました。これにより、商品・在庫データの移行はほとんど発生せず、一気に切り替える形でスムーズにローンチできました。フロントエンドのデザイン実装とサーバサイドの連携開発を並行して進める「両輪の体制」で臨みました。
-- 開発スケジュールを教えてください。
上村様:2022年秋にHeartCore社の研修を3日間受講し、構築手法を学びました。翌年1月までに設計の方向性を固め、2023年1月に開発着手、2024年春にローンチという流れです。研修からローンチまで約1年半のスケジュールでした。
なお、旧EC-CUBEには設計書が存在しなかったため、移行にあたっては実際のサイトを触りながら仕様を確認する作業が必要でした。その点、販売管理システムのデータベースをそのまま活用する方針にしたことで、大規模なデータ移行を回避できたのは大きかったと感じています。
以前は一日がかりの作業が、短時間で完了するようになりました
検索機能がもたらした劇的な運用改善
-- 新システムに刷新したことで、どのような変化がありましたか。
斉藤様:正直なところ、プラットフォームをHeartCoreに変えたことで流入数が劇的に伸びた、ということはありません(笑)。当社のアクセス数は季節要因や企画内容で大きく変動するため、CMSを変えただけで数字が急伸するわけではないのです。ただし、バックエンドの作業負荷は確実に軽減されました。以前はPCサイトとスマホ専用サイトを別々に管理していましたが、レスポンシブデザインに統一したことで、データ集計やアクセス解析にかかる作業時間が格段に減少しています。
吉岡様:運用面での大きな変化は二つあります。一つは予約公開機能による労働負荷の軽減です。以前は夜間や年末年始の更新時に担当者が張り付く必要がありましたが、今は事前に予約しておけば自動で公開されます。たとえば年末年始の更新では、1月1日の0時に合わせて手作業で一気に公開するような状態でしたが、その必要がなくなりました。
もう一つは検索機能による作業の効率化です。以前はFTPサーバにファイルを直接アップロードする運用だったため、複数ページにまたがる検索ができませんでした。HeartCoreでは、たとえば「埼玉」というキーワードをサイト全体から一括検索・置換でき、以前は一日がかりで探していた作業が短時間で完了するようになりました。構造を把握していないページでも、キーワードを検索するだけで該当箇所を特定できるのは非常に助かっています。
さらに「バンドル機能」も気に入っています。これはコンテンツを横串で束ねるタグのような仕組みで、頻繁に更新するコンテンツだけをまとめた作業用グループを作成できます。サイトのフォルダ構造と実際の作業単位は必ずしも一致しないので、階層とは別の切り口でコンテンツを横断的にまとめられるのが助かっています。
本部 WEB運用部 吉岡 雄三 様
-- 日々の運用/メンテナンスを担当されている保守ベンダー目線では、HeartCore CMSをどのように評価いただいていますか。
田中様:HeartCoreの良さは、まずバックオフィス機能の直感的な操作性にあると感じています。専門知識がなくてもスムーズに扱えるので、現場の人間にとっても非常に使い勝手が良いんですよね。運用面で特に助かっているのが、コンテンツの部品化です。HeartCoreの独自関数である“include関数”を使って他のページへ簡単に流用できる仕組みのおかげで、急なデザイン変更が必要になっても、元となる部品を一つ修正するだけでスピーディーに対応できます。『作りやすさ』と『メンテナンスのしやすさ』を高いレベルで両立できている点は、日々の維持保守を行う上で、大きな強みだと実感しています。
システム本部 第一システム部 田中 彩葉 様
目の前にお客様がいらっしゃるかのような商品提案を目指しています
対面チャネルとの接点強化とパーソナライズの深化
-- 最後に、ECサイトの今後の展望をお聞かせください。
斉藤様:対面販売とECの相互連携をさらに強化したいと考えています。「どのチャネルで買っても同じ品質のサービスが受けられる」状態が理想です。ECではスタッフが横にいるわけではないので、将来的にはチャット機能の導入なども視野に入れ、オンラインでも対面と同等の接客品質を実現したいですね。
-- パーソナライズの取り組みについてはいかがでしょうか。
斉藤様:現在もMAツールやレコメンドエンジンを導入し、セグメントごとのメール配信などを進めている段階です。HeartCoreが連携している外部サービスの選択肢は当社にとっても魅力で、標準機能やオプションで対応できる部分はそこで、足りなければ外部サービスをつないでいくという使い分けができます。最終的には、目の前にお客様がいらっしゃるかのような商品提案ができる状態を目指しています。
-- 展示会運営との連携で、今後の構想をお聞かせください。
斉藤様:展示会には「来場枠」「ゲストイベント枠」「定員管理」「リマインドメール配信」など、複雑な予約管理が伴います。現在は展示会ごとに別々のフォームで手作業管理しており、キャンセル対応や締め切り処理も手動です。外部の予約サービスもいくつか検討しましたが、当社の要件が複雑なためフィットするものが見つかっていません。将来的にはHeartCoreのExtension機能や外部サービスとの連携で、この部分も効率化していきたいと考えています。
-- 対面販売とECを組み合わせ、外部サービスと連携しながら、お客様一人ひとりに寄り添った接客を実現する。その一助としてHeartCoreを活用いただければ幸いです。本日はありがとうございました。
システム本部 第一システム部 担当課長
上村 和浩 様