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インタビュー
プロセスマイニング
2021.04.19

有名重工業社のプロセスマイニング成功事例
~働き方改革・DXへの有効性~

「DXしろといわれても何からすればいい…?」「働き方改革をしているが、かえって業務改善という仕事が増えているし、成果も思わしくない」といった悩みを抱えていませんか?

DX・働き方改革をしているものの本質をついた施策を見つけられずに苦労している人は多くいます。しかし、同じ悩みを克服して大きな成果をあげる企業が出てきているのも事実です。ポイントは「プロセスマイニング」という技術を知り、取り入れたことです。

今回、だれしも知る総合重工業メーカーが、プロセスマイニングでリードタイム40%削減や売上20%アップできた事例を伺ったので紹介していきます。

事例を紹介いただいたのはHeartCore株式会社の三宅立悟さんです。三宅さんは「ドコモ安心遠隔サポート」といった有名サービス立ち上げなどをしてきたITのプロ。現在はHeartCore社で、テクノロジーを活用して働き方改革などを推進する方法を追求しています。

Task Mining

有名重工業社が成功できたきっかけと具体的な成果

―― だれしも知っている有名な重工業企業の事例ですが、はじめにプロジェクトのきっかけを教えてください。

三宅さん:きっかけとしては展示会で弊社のプロセスマイニングツールを知っていただいたことです。来場された方は働き方改革の一環として業務改革をしていましたが、業務分析のためのデータ集めをヒアリングなどのアナログな方法でしており、とにかく苦労されていました。

―― 膨大なPC業務のデータを自動で収集できるので、プロセスマイニングツールを導入*してもらったということでしょうか?
*厳密には後述する「タスクマイニングツール」も導入している

アプリケーション分析
収集・分析できるデータの一例
使用アプリや作成ファイル数などがわかり、いつ何をしたか・合計でどのくらいしたかわかる

三宅さん:データの収集はもちろんですが、業務の自動化といった改善を含めてお試しいただいた形です。プロセスマイニングツールによるデータ収集や解析は、あくまで改善が目的ですので。

もちろん、アナログな方法で多くの時間をかけてあいまいなデータを収集している現状を解決する力もあります。実際、データ整理や上層部を説得できるような改善案の資料作成も早く正確にできるようになりました。

ただ、データ収集や分析はあくまでも業務改善のためにすることであり、業務改善の成功による利益のほうが企業にとっては大きかったです。具体的な業務改善の成果としては、たとえば購買部の発注を30%自動化してリードタイムを40%削減したことがあげられます。

―― 40%もリードタイム削減できたのですね。しかし、某重工業企業はもともと業務改善に取り組んでいたのですよね。時間はかかるにしても、プロセスマイニングツールなしで改善できなかったのはなぜでしょうか?

三宅さん:特に大企業にあてはまるのですが、業務改善のための分析を人間がヒアリングなどでおこなうのは現実的でないのが原因といえます。たとえば作業者の後ろに立ってストップウォッチで業務時間を計測しても得られるデータは一人分。それもごく一部の業務を数回計測したにすぎません。手間が非常にかかる一方で、得られるデータはあいまいです。

そして、あいまいなデータを見ても問題点がよくわからず、場合によっては間違った現状把握につながることもあるでしょう。膨大な時間をかけている以上、人件費も膨大になっていますし、外注すればさらにコストがかさみます。毎年1億円以上かかっている場合もありますね。

従来手法とプロセスマイニングツールの違い

―― たしかに、従来の手法はコストの割にデータの偏りが多そうですし、必ずしも現実を反映していなさそうです。実際に計測されると「こんな業務ばかりじゃないんだけどな…」と思いそうです。先の例は購買業務の自動化でしたが、やはり人間のヒアリングなどで分析するのは現実的ではないのでしょうか?

三宅さん:そうですね。某重工業企業の購買業務の場合、高額なものから文房具購入までを業務としており、件数や承認プロセスが膨大でした。日々データが増えるのに、人力ですみずみまで正確に把握するのはあまり現実的ではありませんし、把握できたとしても相当なコストがかかります。

しかも値段にかかわらず同じ承認プロセスで購買していたので、まずそこが無駄でした。そこでまず、労力をかけてチェックするほどでもない商品の購買は自動化する方向で改善に取り組みました。結果として業務全体の30%を自動化でき、リードタイムを40%削減できました。

―― 私も経験ありますが、多くの国内企業は経費申請や出張のたびに多くの人からハンコをもらわないといけないし、書類の保存や記録業務もあります。そういった業務を自動化したということでしょうか?

三宅さん:イメージ的には近いですね。ちなみに先の購買部の改善例は、経費削減にもつながりました。自動化するということは、どこからどのくらいの量を仕入れるかといったルールを決めるということで、大量発注にともなう値引き交渉ができましたので。

―― 自動化に加えてコストカットまでできたのは予想外の大きな収穫だったと思います。無駄な残業のカットでなどもできたでしょうし。ただ、仕入れ先のメーカーなども新商品を出しますから、自動化も陳腐化していくのではないでしょうか?

三宅さん:そのとおりです。だからこそプロセスマイニングツールが有効といえます。仮に人力で多大な労力をかけて業務改善できたとしても、陳腐化は検出できません。「なんだかまた生産性が落ちている気がするな…」となって、再度ヒアリングなどで調べないといけませんから。改善の費用対効果に疑問が残りますし、定期的に多大な時間をかけて業務改善をしなければいかないのは不本意なはずです。

一方で、プロセスマイニングツールは常に自動でモニタリングしているわけですから、リアルタイムかつピンポイントで問題の検出・分析ができ、改善に取り組めます。これはどの企業にもあてはまるプロセスマイニングツールの大きなメリットです。

プロセスマイニングツールが常にデータを取得してくれる人件費をカットできるのはもちろん、生産性悪化による機会損失も防げる
プロセスマイニングツールが常にデータを取得してくれる
プ人件費をカットできるのはもちろん、生産性悪化による機会損失も防げる
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