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インタビュー
2018.08.10

使えなくなるクッキーに替わる次世代ソリューション「ハートコアビスケット」
―― キーパーソンインタビュー 代表取締役社長兼CEO 神野純孝

代表取締役社長兼CEO 神野純孝

ハートコアの製品やサービスについて皆様により深く知っていただくため、社内のキーパーソンへのインタビューシリーズを企画しました。

第1回となる今回は、代表取締役社長兼CEOの神野純孝が、クッキーに替わる次世代ソリューション「ハートコアビスケット(HeartCore Biscuit)」について語りました。

短気になった消費者

―― ハートコアビスケット開発の背景についてお聞かせくださいますか?

ハートコアビスケット開発の背景を説明するにあたり、まずは、スマートフォンの普及が消費者にもたらした様々な変化から話を始めましょう。

まずは、縦型画面の影響です。日常生活において、様々なものを見るとき、スマートフォンの画面の見方が影響を及ぼしています。かつては、人の目線はZ型(左上→右上→左下→右下)に動くことから、自動販売機の売れ筋商品は左上でした。しかし、今は真ん中に変わってきていて、左右には売れ筋商品を置かなくなるといった状況が生まれました。スマートフォンの画面を見るように、消費者の目線が上から下へと縦に走るようになっているからです。

また、スマートフォンがもたらしたもう一つの変化として挙げられるのが「消費者の気が短くなってきている」ことです。消費者は瞬時に判断して反応するようになりました。知りたいことがあれば、すぐにスマートフォンで検索して関連サイトに飛び、そこで得たい情報がなかったら即座に離脱して、また検索結果に戻って別のサイトへ行ってしまう。離脱までの時間は、男性で3秒くらい、女性では0.5~1秒だと言われています。

パーソナライゼーションを行うためのクッキー、そして、ハートコアビスケット

―― このような状況の中、企業はどのように対処すればよいでしょうか?

超短時間でのサイト離脱が起きないようにするためには、そのサイトにお客様が来た貴重なチャンスを逃さず、その人がどんな人かを瞬時に判断し、その人に最適化されたコンテンツを提示することが有効です。

代表取締役社長兼CEO 神野純孝

このパーソナライゼーションを行う際に、訪問者が誰かを特定する手段として一般的に使われているのがクッキー(Cookie)です。クッキーは、ユーザー設定についての情報を保持するために、ウェブサイトによってユーザーのスマートフォンに保存される小さなファイルです。

例えば、ECサイトで商品をカートに入れたことをクッキーに格納しておけば、途中でブラウザを閉じても、再度そのECサイトに戻ってきた時に、ユーザーはカートに商品が入っている状態で買い物を続けることができます。

すなわち、クッキーの情報を利用して個人が特定できると、ユーザーがいろいろなサイトを移動しても、その人を同じIDで追跡することが可能です。

例えば、クルマの情報を見た人にクルマの広告を提示し、その人が別のサイトに移動しても、同じ広告を提示できます。これが行動ターゲティング広告(リターゲティング広告)です。他にも、クッキーはサイト訪問時のさまざまな体験をパーソナライズすることに利用されています。

ハートコアはCMSツールを提供する会社であり、クッキー機能そのものを扱っているわけではありません。しかし、コンテンツマーケティングの観点から、一人ひとりのエンドユーザーに対して、その人が今アクセスしているサイトで、その人にとって関心の高い、有用な情報を提示する機能を持ちたいと考えました。それができれば、サイトからの離脱を防ぎ、滞在時間、再訪率、コンバージョン向上などの改善につながります。

これが、クッキーを必要としないハートコアビスケットの開発動機です。

クッキーが使えなくなる!?

―― それでは、ハートコアビスケットはどのようなものか教えてもらえますか

ハートコアビスケットの基本的なアイデアは、過去の行動履歴データを分析し、その人がある特定のサイトに行ったとき、そのサイト内のどんな情報に関心があるかをAIを利用して予測可能としたい、というものです。

例えば、ある女性が化粧品のサイトを訪問したときに、その女性がどんな化粧品に関心を抱いているのかを、過去の行動履歴に基づいてAIが予測します。このAIをハートコアでは擬人化して「ハートコア教授」と言っていますが、いわば、その人の趣味嗜好をハートコア教授は既に「知っている」状態を目指しています。

代表取締役社長兼CEO 神野純孝

もちろん、このAIの開発には大変苦労しており、こうした関心、行動の予測の精度を高めるためのさらなる投資を続けています。ただし、クッキーに替わる個人を特定する方法については解決できていませんでした。

私が開発にGoサインを出したのは3年前です。そのころから、クッキーは個人情報保護の観点から、いずれ使えなくなると言われていました。当初は5年以上の猶予があるという見通しでしたが、このところ状況がにわかに慌ただしくなってきたのです。

一つは、AppleがSafari11で実装している、ITP(Intelligent Tracking Prevention)という、クッキーによるサイト間トラッキングを防止する手段がでてきたことです。

また、これからビジネスに大きな影響をもたらすもう一つの動きが、欧州のGDPR(一般データ保護規則)に続き、欧州議会で成立したeプライバシー規則です。

GDPRが一般的な消費者の個人情報に対する取扱規制であるのに対して、eプライバシー規則は、俗に「クッキー法」と呼ばれ、主にクッキーを対象にしています。今後欧州でクッキーを使う場合、必ずユーザーからの承認を得ておく必要があり、違反した場合にはGDPRと同様の罰金が課せられることになります。

こうした環境変化によって、事実上クッキーを使って個人を特定したり、リターゲティングに利用することがますます難しくなっていくのです。実際、例えば、調査会社ではiPhoneでクッキーが使えなくなることで、スマートフォンを使った調査実施に支障が起きるリスクが懸念されています。

クッキーを代替するハートコアビスケット

―― クッキーが使えなくなるとオンラインでの事業運営が厳しくなるのですね。

はい。そして、クッキーに替わり個人を特定するための方法がハートコアビスケットです。ただし、クッキーと異なり「名前や住所などのプライバシーに関わる情報を使わずに、個人を特定できる」という特徴を持ちます。

代表取締役社長兼CEO 神野純孝

ハートコアビスケットはそれをどうやって実現しているかというと、機械学習によって、行動を予測できる量のデータを集めベクトル化するのです。ベクトル化というのは、例えば、3番目のデータはスポーツに対する好みを表し、それが16という値を持ったら、サッカーが好きであるということを示す、という感じの表現です。

名前も住所も性別も、ベクトル化されると人間には理解できないデータの塊でしかありません。それが個人情報として意味が出てくるのは大量のベクトル化されたデータと、それを解き明かすアルゴリズムとの両方が明らかになったときです。ですから、数千とか数万レベルのものであれば、それが誰かの手に渡っても個人を特定できないという点で、情報漏洩リスクの少ないものです。

この技術に関しては特許申請中であり、世界最先端の方法だと言って差し支えないと思います。クッキーを使わずに、そして、ダイレクトな個人情報ではないデータを使ってサイト間の体験をパーソナライズできるのが、ハートコアビスケットなのです。

このハートコアビスケットは、当社が提供するCMS/CXM標準搭載され、CMS/CXMユーザーは無料でお使いいただけます。

ハートコアビスケットの活用法

―― ハートコア ビスケットでどんなことができるのでしょうか?

何ができるかを端的に示す例を挙げてみましょう。

ある人が、旅行会社のサイトで北海道の千歳行きの航空券を予約したとしましょう。そして、その後一定期間内にホテル予約のサイトに行ったとします。ビスケットを使わず、行動履歴がなければ、そのホテル予約のサイトでは、あらゆる日にちから、海外を含むあらゆる場所のホテルを選ばせる、という手間をそのお客様に強いることになります。しかし、ハートコアビスケットにその方の行動履歴が記録されていれば、ハートコア教授がそれを一瞬で読み取り、旅行当日の北海道エリア内のホテルから、その人が過去に泊まったホテルも考慮に入れた適切なレコメンデーションが行えます。

代表取締役社長兼CEO 神野純孝

ハートコアビスケットは、データが集まれば集まるほど、予測の精度が上がり、できることも拡がります。これからもデータ収集に力を入れますが、多くの会社と連携することにより、より優れたユーザー体験がもたらされるでしょう。まずは日本で、ハートコアビスケットの普及に尽力しますが、ゆくゆくは欧州へ、そして世界へと市場を拡げていくことを視野に入れています。

―― ありがとうございました。

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