最先端テクノロジーをいち早く採用して、クライアントのニーズに応えるハートコアがお届けするお役立ち情報サイト

プロセスマイニング
2019.02.07

【プロセスマイニング道場】パフォーマンス分析のきほん

プロセスマイニングにおいて最も重要な分析のひとつが、「パフォーマンス分析」です。今回は、レストランのサービスプロセスを例に、パフォーマンス分析を解説します。

さて、先日公開したトピック、【プロセスマイニング道場】イベントログって何ですかに登場した真伊院紅男(まいいん ・べにお)くんは、実はコンサルティング会社に勤める若手コンサルタントです。プロセスマイニングにも通暁し、様々な業界の大手企業のプロセスマイニングプロジェクトに参画しています。

先日、紅男くんは、レストランを経営する親戚のおじさんから相談を受けました。それは、おじさんのお店の売上を伸ばすために、ネットでたまたま目にした「プロセスマイニング」が活用できないか、というものです。

Process Mining

おじさんの店、「クッチーナ・エミーリア」は手頃な値段で美味しいイタリア料理が楽しめる地元で人気のレストランです。特に、ランチタイムは目の回る忙しさのこと。ただ、座席数は100席と広めではあるものの、最近売上は頭打ちになっており、これをなんとかできないかと、いうのがおじさんの悩みでした。

紅男くんは、「そうしたお悩みなら、プロセスマイニングが活用できそうですよ!」と快諾。会社として受けるかどうかはさておき、まずは話を聞くため、店休日におじさんのレストランを訪問しました。

紅男くん:店舗型飲食店の場合、売上は、[席数×回転数×顧客単価]で決まりますよね。しかし、座席数はこれ以上増やせないし、また、顧客単価を上げるのは簡単じゃない。安易に料理の価格をあげると、お客さんが逃げてしまうかもしれないし。

おじさん:そう、だからなんとか回転数をあげたいわけ。ただ今は、押し寄せるお客さんをなんとかさばくのに四苦八苦していてどう改善したらいいのか、そのためにどんな課題があるのかわからないんだよ。

紅男くん:なるほど、であれば、お客様が、クッチーナ・エミーリアに来店されてから、食事を楽しまれ、会計を終えてお帰りになるまでの「飲食提供サービスプロセス」をプロセスマイニングのアプローチで分析してみましょうか。

おじさん:ぜひ、よろしく!

紅男くん:プロセスマイニングに取り組む最大の目的のひとつは、リードタイムの短縮なんですよ。リードタイムは、あるプロセスの開始から終了までの所要時間。たとえば、工場の製造プロセスで、1個の製品が完成するまでのリードタイムが、従来3時間必要だったとします。しかし、製造プロセスを改善して2時間に短縮できたとします。すると、その分、人件費やら電気代とか削減できますし、納期も短縮できてお客様も喜んでくれる。こうした、リードタイムを短縮するための分析を「パフォーマンス分析」と言います。

レストランの場合は、お客様の来店からお帰りになるまでのリードタイムを短縮できれば、より多くのお客様に対応できることになり、回転数は確実に上がりますね。
ですから、今回のクッチーナ・エミーリアのプロセスマイニングプロジェクトは、「回転率向上を目的として、サービス提供プロセスのリードタイムをどうやって効率化するか」、という課題に取り組む、ということでいいでしょうか?

おじさん:おお、まさにそうだよ、紅男くん。それで、「パフォーマンス分析」ってどうやるの?

紅男くん:パフォーマンス分析をやるに当たって、まず覚えて欲しいのが「待ち時間(Waiting Time)と「サービス時間(Service Time)」です。待ち時間は、前工程が終わって、次の工程が始まるまでの間の時間です。サービス時間は、ある特定の工程を遂行する時間です。基本的には、前の工程が終わったら、さっさと次の工程が開始できるべき、つまり、待ち時間は短いほうがいいし、一つひとつの工程の作業時間が短いほうがいいのは言うまでもないですね。

では、まずお店のサービス提供プロセスにはどんな「活動」(業務)があるか教えてもらえますか?

おじさん:えーと、まずお客様がドアを開けて入店されるところが始まりだね。最初はレジカウンターにあるディスプレイに、人数を入力してもらって整理券を発行する。整理券に印字された順番に、座席にご案内する仕組みだ。混んでるときは、結構待たせてしまうのだけど。

座席の準備ができたら、フロア係が整理券の番号でお客様を呼びだし、座席に案内する。次いで、別のスタッフがお水とメニューを持って座席に行き、「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」と言っていったん下がる。

注文内容が決まったお客様から呼ばれたら、スタッフが座席に行き、注文をお聞きして、手元のタブレットに入力する。すると、厨房のタブレットに随時、注文内容が表示されるので、コックが料理を作り始める。料理ができたら、フロア係が座席に運ぶ。

このあとは、お客様が食事を楽しむ時間だね。回転数を上げたいとはいえ、できるだけゆったり楽しんでもらいたいというのが私の思いだ。食事がお済みになったら、レシートを持ってレジに行きお支払い。この時も、混んでるとレジ前にお客様が溜まってしまうことあるなあ。最後は、「ありがとうございました」とお客様をお見送りしてサービス提供プロセス完了。こんなところかな。

紅男くん::結構ややこしいですね。では、いまの流れをフロー図にしてみます。

1 来店
2 整理券発行
3 座席にご案内
4 水出し&メニュー渡し
5 注文取り
6 調理
7 座席にお運び
8 お食事
9 レジ支払い
10. お帰り

紅男くん:クッチーナ・エミーリアのサービス提供プロセスは、10個の活動で構成されているということがわかりました。それで、各活動の開始時間と終了時間ってわかりますか?

おじさん:お客様が来店された時間はわからないけど。整理券発行のため、お客様がレジ前のディスプレイに人数を入力される時間は、整理券発行システムのログを見ればわかるね。それ以降は、スタッフが持ってるタブレットに入力するタイミングの時間は取れるかな。

紅男くん:ふむふむ、データが取れる活動と取れないものが混ざってそうですね。では、ひとまず全部データは取れているという前提で考えましょうか。

それぞれの活動の開始時間と終了時間から、各活動の「サービス時間」、処理時間と言ってもいいですが、を算出します。また、前の活動の終了時間から、次の活動の開始時間までが「待ち時間」です。これを図解してみるとこんな感じです。

とりあえず、来店から、水出し&メニュー渡しまでのプロセスについて、それぞれの待ち時間、サービス時間をおよその想定で書いてみました。

Process Mining

おじさん:こうやって可視化できると、問題点が把握しやすくなるね。お客様が来店されて、整理券を発行する時も、混んでるとちょっと待ち時間が発生してしまっているのは現実だよ。

紅男くん:もし、整理券発行のシステムがちょっとわかりにくいものだったとすると、お客さんの操作する時間、つまりサービスタイムが長くなり、結果として整理券発行の活動で待ち時間が発生しやすくなると考えられますね。

おじさん:そして、その後、整理券番号の順番通りに座席にご案内するまでが、実際、待ち時間が長くなってしまっている。

紅男くん:おそらく、ここが最大のボトルネックでしょうね。人気店はどこも同じでしょうけど。

おじさん:そうだ。ただ、座席にご案内してからも、水出し&メニュー渡しが素早く行えないと、ここでも待ち時間ができてしまう。

紅男くん:はい、そうして各活動の待ち時間、サービス時間が長くなるほど、トータルの合計時間であるリードタイムが長くなり、回転数が低下につながるというわけです。

おじさん:なるほどねぇ、こうしてプロセスマイニングでプロセスを可視化することで、パフォーマンス分析が行え、問題点を特定しやすくなるんだね。

紅男くん:はい。ただ、プロセスマイニングは、業務プロセスに関わるデータ、つまり「イベントログ」が存在していることが前提ではあるので、クッチーナ・エミーリオでのサービス提供プロセスに関わるイベントログをどうやって収集するか、考えなければなりません。

ちなみに、myInvenioで分析した「銀行ローンの処理プロセス」のパフォーマンス分析は、こんなグラフで確認できるんですよ。ローン処理プロセスに含まれる活動それぞれについて、待ち時間とサービス時間が横棒グラフの長さで表されています。薄い青が待ち時間、濃い青がサービス時間です。たとえば、ローン処理プロセスの活動の中では、「書類処理」が、待ち時間は短いもののサービス時間がやたら長いことがわかりますね。ローン処理のパフォーマンスを向上する、すなわちリードタイムを短縮するなら、まず書類処理を始めとする所要時間が長い活動について原因を掘り下げ、改善策を立てる必要があります。

書類処理

おじさん:おかげでパフォーマンス分析の考え方はわかったから、今度はイベントログについて教えてもらえるかな。今日も、美味しいパスタご馳走するよ!

サキドリカテゴリ

<広告>

RPA+働き方改革コンソーシアム 俺の夢forMAGAZINE